あいらぶゆー2
『~♪』


私が扉を開けると、オルゴールの優しいメロディーが聞こえてくる。


中にいる人に、私の訪問を知らせる合図なんだけど


その音が聞こえると、いつもこの瞬間から私は昔の自分に戻れる気がする。


お兄ちゃんがいて、愛斗がいて…いつも私の周りには、大好きな人がたくさんいたね。


いつからなんだろ、私の心が歪み始めたのは…。


きっと…


それは


…寂しかったから?


うちの親は有名なパティシエで…実家もセレブ御用達の超有名な高級洋菓子店。


だから他の家より裕福で、お金で買えない物なんてなかった。


でも物欲は満たされても心はいつも満たされなかった。


…家庭より仕事の両親は私の面倒なんてみてくれず、頼りにしてた大好きなお兄ちゃんも…


気づけば私の元を去って行ってた。
< 56 / 582 >

この作品をシェア

pagetop