あいらぶゆー2
「でも寂しいからって、そんなことするなんて……」


「あの、黒谷くん……見たことありますか」


「直接は見てないの。はっちゃんから聞いたり、人に調べてもらっただけ……」


「そうですか。黒谷くん、実は……愛斗くんによく似ていて」


そこまで言うと、彼女は目を細めた。


「そう……。だから亜沙美は、彼の言うことを聞いちゃったんだ?」


「まぁ、それだけじゃないとは思いますけど」


「黒谷くん……彼も家庭のことで色々悩んでたみたいね。お父さんが癌だって聞いて、何とかしてあげたいって思った。

これは亜沙美から遠ざけるためだけじゃなく、これは自分への罪滅ぼしなのよ……」


そう言って、亜佐美ちゃんのお母さんはうつむいてしまう。


何に対しての罪ほろぼしなんだろう。


疑問に思いつつ、問いかける。


「どういう、意味ですか?」


「私ね、優羽吾が今いる島に……父を残してきたの。手塩にかけて育ててくれた。すごく優しくて偉大であったかい父」


「亜沙美ちゃんのおじいさん、ですよね?」


< 569 / 582 >

この作品をシェア

pagetop