その男☆ナルシストにつき!!
仕事とはいえ、ここまで世話を焼かなきゃとは…。


もっと、厳しくなきゃいけないんだろうな。


「今夜ですか?」


「そう、宮元の家は知ってる?」


「黒崎さんマンションじゃないんですか?」


「それは、ダミーよ。宮元はね、マキの隣に住んでるのよ。黒崎の移動が楽なようにね。」


表向きは、お互いの両親が安心するからってなってるけど。


「マキのマンション?」


「住所とオートロックのナンバーあげるから。それと、マキは今夜実家に帰ってるはずよ。黒崎が出張だから。」


「いいんですか?」


すっかり元気になったわね。


「いいわよ。これで、仕事がちゃんと出来てくれるならね。」


スキャンダルだけは気をつけて欲しいけど。


「ありがとうございます。」


「どういたしまして。そうだ、あとコレ。頼まれてたライブのチケット。ちゃんと、最前列取ったからね。ステージパスじゃなくて良かったの?」


「大丈夫です。」


「そう。じゃあ、あさっての試写会忘れないでね。」


「はい。」


元気になった七瀬の顔。


これでひと安心かしら。


「そうだ、あと重要なことがひとつ。」


クルリと玄関に向かって、帰ろうとした足を止めた。


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