その男☆ナルシストにつき!!
「最後まで分かんないだろ?電車に乗ってるかもしれない。」


「そうだといいけど…。事務所にもいないらしいから。万が一、伊吹の答えが『ノー』だったら…。」


確かに…。


マキちゃんの言う通りだ。


怖いことしか考えれらない。


『ノー』って返事も選択肢にはある。


それに、アニキの記事が出たって事は、マキちゃんの記事も…。


万が一、出るかもしれない。


そう考えたら、伊吹は絶対にくるはずなんかないんだ。


「オレは、最後まで諦めないよ。」


本当は、自身なんかないけど。


でも1%でも可能性があるなら。


それを信じるしか今はないから。


「そうだね。藤原さんには、前向きに検討しますなんて言ってたらしいから。きっと、伊吹は来てくれるよ。ごめんね。本番前に変な話しちゃって。」


「いいよ。何でもいいから、話してたかったんだ。緊張しすぎてたから。」


「そっか。じゃあ、お互い頑張って、最高のライブにしようね!!」


スッと右手を出してきた。


「ああ。今は、ライブに集中しよう。」


ニッコリ笑って、握手した。


マキちゃんは、ペコッとお辞儀をすると、楽屋を出て行った。


さて、本番開始だ!!


気持ちを切り替えなきゃ。


ステージ裏に続く通路。


何度も深呼吸して。


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