犬吠峠
彼らは何も言わなかった。

何も言わず、威嚇もせず、警告もせず。

ただ無表情、血走った目で、だんだん足早にこっちに近づいてくる。

…お互いに意思の疎通もしないまま。

俺達は車に乗ったよ。

パンクしてまともに走るかどうかもわからない車にな。

仲間が運転席でキーを捻るけど、なかなかエンジンがかからない。

いつの間にか急かしてたよ。

早くしろ!

早く車出せ!

でないと…。




殺されるかもしれない。

訳もなくそう思ったね。

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