今度は俺が恋をする
―過去―


《凛side》


「『風間 凛さん』
っていますか?」



そう言いながら恐る恐る顔を教室に覗かせたおまえ。



たぶん名前だけ見たら女だって思っただろうな。



俺がおまえの前に行くと、やっぱり驚いた顔をしてたよな。


音楽室に忘れた俺の教科書を届けに来てくれた、あの時のおまえの顔は今も忘れない。



それからおまえは、バレー部に入り、
いつもドジばかりしているからおもしろくてからかってみた。



俺のバスケットボールが当たった日、
いつもなら反抗してくるのに、おとなしかったおまえ。



調子狂うよな。



おとなしかったのはその日だけで、
翌日からはいつも通り。



やっぱりおまえは反抗してくるくらいじゃないとな。




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