最強ミックスフルーツ
「違うわ。
話さないと伝わらないことって
いっぱいあるわ。
話してもわかってもらえなくても
話さないよりはずっといい。
今理解できなくても、あと少し時た立てば
きっとわかることもある。
大事な人には話さなきゃ・・・・。
伝わらないうちにその人と
別れることになったら
ずっと後悔するわ。」



私は思わず立ち上がった。


「私は父が病弱でその分働きづめだった
尊敬できる大好きな母を
突然亡くしました。
それまでも母がこんなに大変なのは
父のせいだと思ってました。
母が死んで父をもっと憎みました。
でも…私が恋を知って
父と話す時間が増えたとき
やっとわかったんです・・・・。
母が幸せだったこと
私はそんな愛し合う二人の
愛の結晶だったってこと……
そして父が深く傷ついていたことも……
それはきっともっと小さい頃なら
まだ理解できなかった。
でもこうして今、自分を探しながら
成長してて、そして恋をしてて
だから両親がどんなに愛し合ってたか
私たちがそんな両親の宝物なのも
命は大切にしないといけないことも…
わかったんだと思います。」


私は理輝を抱きしめた。


「私は、理輝しか見てないから……」

泣きじゃくる理輝を
強く抱きしめた。


「俺もね……
あの時、春妃を抱けなかったのは
理性だけじゃなくて
理輝の母親を愛してるって
彼女と暮らした短い時間が
今の俺を作ってくれたから・・・・
春妃を抱いてあげれば春妃をなんとか
救えたのかも知れないけど・・・
あの時抱いても・・そう想像しても
奈々子のことを忘れることはできない……」
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