フラミンゴの壁
第20章
俺が、天を向いて宙に立ち、二人を抱いて、最後のきっかけを導いたのは、ダナエとアテネと俺を結び付け融合させるように、ひとつに解け合うことだった。

二人はダナエがホークでさした俺の腹の傷口から滴る血とは逆に入ってきた。
その融合がいわばそれが太陽と月、そして地球を表わした象徴体であった。
三人が溶け合い地球を中心にしたグランドラインを描き、すべての生命の活動時間が一時停止し、地球の半分が光を失い、また半分が闇を消した。
人類の始まりの時間を進める鼓動を聴かせるまではそのまま静かな生命の宿る球体となした。
そしてわれわれのきかっけであった最後の太陽と月と地球を結んだ巨大な塔は、光と闇を中立にしたまま自我の意識を失い無力化された。

俺は、タロチャンと呼ばれたもうひとりの俺が書いた最後の手紙を読んでいた。

ダナエをアテネを俺の部屋から放り出し、七色の影が襲撃したあと、俺にヘルメスのきっかけが発動し、もとの世界へと引き込まれタロチャンと入れ替わったというわけだ。
結果として、俺の命は奴らの描いたストーリー通りに救われたわけだが、この手紙に書いてある結末が果たして、もうひとりの俺、ダナエ、アテネが望んだ世界であり、結末だったのか俺は知る余地もなかった。
けれど、無数なる平行世界のなで、けっして触れることのできない次元を超えてもうひとりの自分が辿った道を俺は自分のことのように誇らしく思うことができた。

俺の中にも何か眠れるものがあるということ。

そしてそれは世界を関係なく発動できるものが人にはあるのかもしれないと考えていた。

「さぁ、今日も俺は仕事だ。」

明るい日差しのなかを通り過ぎようと、俺はドアを開けて勢いよく現実へと駆け出した。
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