フラミンゴの壁
部屋の鍵を開けてなかに入る。
一人暮らし無味簡素な乾いた空気が孤独を物語っているように思えた。
俺はいつも決められた手順のように居間の電気からテレビの電源、それからスーツを半分脱ぎながら、パソコンの電源を入れ、クーラーの電源を入れるのと同時に冷蔵庫を機械的な動きですべてのスイッチを入れた。
一息付くように座り、一人ごとを呟く。

「あぁ、つかれたなぁ。」

俺はテレビを観ながら、うとうととしてそのまま眠ってしまった。

クーラーが効いているせいで目を覚まし、そのときにはテレビの放送時間も終わり砂嵐が舞っていた。
時計を見るとすでに四時近かった。
カラダはそのまま寝ようと強引に緩慢なふりをして誘惑したが、やはりシャワーを浴びて出勤準備の煩わしさを解消しようとユニットバスに向かった。
シャワーを浴びるとすっかり眠気も覚めてしまった。
ベットのうえから手を伸ばし手紙を取った。
すぐには開けないつもりでいた。
不可解なものに自分の生活を狂わされることに億劫を感じていた。
しかも相手は記憶もない自分だ。
馬鹿らしく思い俺はまた眠ろうと目を閉じた。

「触らぬかぎり将来は動かしようはない。」

未来は発動しないのだと眠りを誘いながら思っていた。
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