狐と兎
「呪いなら……っ! 解ける物なんでしょう?」


微かな希望が欲しかったキルシュは必死でした。

解ける方法があるならば、それが自分に出来ることであるならば、

キルシュはきっとなんだって出来る気になっていましたが、

ハルトが次に発した言葉はキルシュが望んでいる物とは全く違う物でした。


「解けるかは……考えた事もなかった。でも無理だと思う」


それを聞いたキルシュはハルトに背を向けて、

もうバレているというのに泣いているのを気付かれないように泣きました。


「別れないからね。絶対に」
「…………」
「あたし、これでも強いんだからね!?」
「うん、分かっているよ」
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