メイド in LOVE


「俺の屋敷には
住み込みで働いている
メイドや執事がいるんだ。
ここにいるカイルもそうだ。

どうだ?
住む場所も仕事も生活費も
一気に手に入る。
魅力的だろう?」


不敵に笑う顔は
確かにとても魅力的だ。


けれど……



「しかし、そこまで
世話してもらう訳には……」


「なら、俺が肩代わりした
借金を返すためだと思えば良い
その為に俺の側で働く
……やるだろ?」


なんというか…この人は
言葉の"意志"が強い人だ。

話し方は上から目線なのに
嫌な感じはしない。

素直に従いたくなる。


彼に魅せられてしまう。



きっと彼は生まれた時から
人の上に立つ人間だと
決まっていたんだろう。


何処かへ行くアテなど
無いように
選択する権利など
私には無かった。



彼の言葉に私は頷いた。



私は今日から
この人の元で
メイドとして働く。



きっと新しい
人生の出発になるだろう。



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