*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

忘れたい過去。


ここはどこ?私は誰?


・・・なんて、もちろん記憶喪失ではありません。


扉を開けて、確かに校舎に入ったはずなんだけど、大理石の床を歩くと、まず目に入ったのが、カフェテリア。


丸い4人掛けのテーブルには、シルクのテーブルクロスがかけられ、一つ一つに、高そうな花が生けられている。


さっき歩いてきたガーデンに面した窓は、全面ガラスで、手入れの行き届いた庭を見ながら優雅にお茶を楽しんでいる人までいる。


そんなの見ちゃったら、ここはどこ?って思うでしょ?


その後も、ジムやらエステサロンやら、高校にはありえない事に驚きつつも、足早に自分の教室を目指した。



「1-C・・・1-Cは・・・あった。」


【1-C】と書かれたクラスの表札を見つけて、開いたままの扉をくぐる。


騒ついていたはずの教室が、少しトーンを下げた。


少しの緊張を感じながら、一歩一歩、足を進め、自分の席を探した。

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