*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「違う?」


何か意味を含んだ笑みで、私に問いかけた。


「あり得ない!柏原だけは、絶対にあり得ない!

自己中だし、威張ってるし、態度MAXだし、性格悪いし、思い通りにならないとキレるし、

冷血人間だし、違った!人間じゃなくて猿だった。それから・・・。」


指折り数えながら熱弁する私を見て、榊原くんがフッっと笑った。


「サラちゃん、それってさぁ・・・。

・・・やっぱりいいや。」


言いかけて、少し考えてからやめてしまった。


「何?すごく気になるんだけど!」


「悔しいから、教えない。・・・あ、バス来たよ。」


絶妙なタイミングで、少し後ろの角をバスが回ってくるのが見えた。


「さあ、あれ逃したら、もうバス無いよ。」


榊原くんはそう言って、カバンを私の手に持たせると、私の背中を押しながら、少し早口で話した。


「柏原くん、そんなに悪い奴じゃないと思うよ。

この前サラちゃんが酔っ払いにからまれた時、店長に事情を話してくれたのも彼だしね。」


「えっ・・・?」


「お疲れ様。」


プシューと音を立てて、これまたタイミング良くバスの扉が開き、榊原くんに押されるままバスに乗り込んだ。


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