この手で紡ぐ神の欠片
「アタシだって」
私は隣のブランコに座った。
キィ、と音がした。
公園は、赤に塗りつぶされていた。
詠人がブランコを漕ぎ出した。
キィ、キィ、と音をたてながら
空へ近付く。
「こんなに小さく感じるもんかな」
詠人はブランコを漕ぎながら
そう言った。
私はその様子を見てから、
自分もブランコを漕いだ。
中学3年生の男女が、
人があまり来ない児童公園の
錆び付いてきたブランコを漕いでいる。
不似合いだろうか。