この手で紡ぐ神の欠片



母はパーマをかけた黒い髪を
父に撫でられながら
うふふ、と笑った。

「2階の押し入れの片付けしてたら見付けたの、ね」

「あぁ」

そう言って父と見つめあった。

「けど写真の中より今のキミの方が…」

そう言って父が
母の頬にキスをした。

「そこの若い御二人、子どもがいるんだけど?」

私は呆れた顔で言って

母の膝に乗っていた
アルバムを手にとって、
絨毯がひかれた床に腰を下ろした。

「これ、アタシが6歳からのだね」

私はめくるとそう言った。
最初のページには、
《珠輝6歳の誕生日》
と書かれた写真が貼られている。



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