恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
昨日の疲れを引きずったままの徹夜明けの朝のけだるい空気を引き裂き颯爽と現れたそのヒトは、あっという間に追いつくと、あたしに合わせてスピードを落とし、ゆっくりめの感じでペダルをこいで並走しはじめる。

「は、ハニー先生っ……お、オハヨっ」

ようやくクチが閉じた。

「おいおい……“おはよう”はいいが、名門女子高のお嬢さまが公衆の面前で大グチ開けて大あくびとは、いやはやなんとも実に“はしたない”。せめてクチに手を当てて隠すとかしたらどーなんだぁ? え、大村ぁ」

あたしの左手の腕時計の針は7時21分を指してたけど、先生の2本の眉毛もまた7時21分のカタチになっていた。

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