吹いて奏でて楽しみましょう
春への準備


聡美先輩は卒業後、向こうでの準備と生活に慣れるため、早々と機上の人となった。


春休みに入った私は、なんだか宙ぶらりんだった。


 聡美先輩もいない。琴子もいない。コンクールへの希望も薄いこの部活、続ける意味は…?


辞めるには知りすぎた。
楽器を奏でる喜びを。
合奏の興奮を。
指に、耳に、感覚に、心に。


 いつかは忘れられる?
辞めた後、毎日行く学校で、楽器の音が聞こえても…?



もちろん辛いことも多い。
辞めるなら今なのかもしれない。



そんなある日。香奈恵先輩から電話が来た。


部員集合。


筆記用具や定規、ハサミ等を持参で。




< 192 / 467 >

この作品をシェア

pagetop