吹いて奏でて楽しみましょう
「まぁ、よく頑張ったな。
ところでこれは審査員の評価書だ。
見たいか?」

閉会式の後、顧問が白い紙を一枚出した。

「え!?そんなのがあるの?」

「見たい!」

評価書には、審査員の名前は無く、記号で表されていた。

A氏、B氏…といった具合に。

そして、技術や表現、音程などいくつかに段階評価がなされている。

その下には各審査員の感想が書かれていて、とても興味深いものだった。

「あ、BさんとDさん高評価!いい人だ~。」

「Eはめっちゃ評価低いね。」

「マジだ。厳しい。この人いなければ、金も取れてたんじゃない?」

「う~ん、Cさんとかも何気に厳しい…。」

段階評価は一致している所もあったが、皆それぞれだった。
「どれどれ感想は…」

『音やリズムなどは良く合っていた。』

『これからに期待。』

『楽しそうな曲で良い。』

『せっかく楽しそうな曲なのに、あまり動きが無く、もったいない』

『曲に合わせて楽しそうに吹けば、もっと評価は上がるだろう。』


…あんなに怪しいと嫌がった曲選考は、辛くもベストチョイスだったらしい。

確かに、こんな曲を演奏している所はなかった。


 しかし、あんな緊張する舞台で、楽しそうに動けるのか?
「もっとリズムに乗って揺れたりすれば良かったってこと?」

「え~無理無理無理!そんな余裕ない!」

「私、コンクールは真面目にやらなきゃならないと思ってた。
だってさ、一年のころ、足でリズム取ったりしたらダメだって注意されたよね?」

「あ~、あったあった!私も動いたらダメだと思ってた。音程とかリズムズレそうだし?」

「楽しそうにって、にこやかにするとか?」

「引きつりそう…。」

「それだけでこんなに評価が下がるの?」

一応、同じ項目で高評価の人もいれば、低評価の人もいる。


「なんか、こんがらがってきた。」

「意味わからん。」


とはいえ、プロの感想や評価を見れたのは面白かった。

低評価のE氏だけは、みな悪感しか持てなかったが。

E氏の感想もまた厳しいもので、先生ですら顔を歪める点があった。


「ま、次のコンクールの参考にしよう。」

先生はそう言って、紙をしまった。

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