FAKE LOVE
16歳.安宅菜緒
「愛美(エミ)さんご指名で藤嶺様が既にご来店です。」

「今いく。」



高瀬君の背中を横目で見送って
鏡の自分と向き合う。
高く盛った髪。
清純さを意識したでか目メイク。
主張しすぎないベージュピンクのルージュ。
大きく胸のあいたドレス。

藤嶺さんはあまり派手目がお好きじゃないの。
だから今日は控えめ。
ドレスだけは派手に…

鏡から私を見つめ返すのは、『エミ』…

深呼吸したあと、メイク台からクラッチバッグを掴み取る。

安鷹 菜緒

16歳。

職業は夜の花。

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