COLORS【黄】パープルA─黄昏の明日へ─
一方、その頃廉は……。

「ねぇ、私に協力してくれない?」

「協力?」

「ここで会ったのも単なる偶然なんかじゃないわ。私たちはこうなる運命だったのよ」

「運命って……そんな大袈裟な」

「私のこと嫌い?」

「そっ、そんなんじゃないけど……。話の筋もよく分からねぇのに協力してくれって言われても。そもそもさっきの男は一体何者なんだよ」

「あれは私の仲間だった男。実はね、ベニハナ(窃盗集団の名前)を抜け出してきたの……廉君、『人魚の涙』って知ってる?」

――人魚の涙?
どこかで聞いたことあるな。

「それと俺が協力することとどんな関係があるって言うんだ?」

「明日の深夜行われる、雨宮任蔵(あめみやにんぞう)との取引に協力してほしいの」

雨宮……任蔵……。
確か前に翠ちゃんから聞いたことがあったけ。
裏社会では盗品の取引を相当な高額でしている悪党の親玉。
ってことは……もしかして――。

「麻美……?」

「この『人魚の涙』の取引にね」

彼女の右手にはキラキラと光る一つの宝石。
俺も初めてその存在を見る――。

これが『人魚の涙』……。
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