さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「いや、成宮さんにどんな人が好きかって聞いたら、お兄さんみたいな人って言われたから」

「もしかして千春に告白したの?」

 たまに二人で話をしているのは見たが、千春は彼のことを大して意識していないように見えた。

「好みのタイプを聞いただけだけど」

 千春は思い当たる人がいなくて言っても差し障りのないような名前を出したような気がした。

 だけど、一応彼の質問には答えておく。

「かっこいい人だよ。千春のことを一番大事に思っていると思う」

 加えてあたしの大好きな人だけど、彼はあたしを好きではない。

「そんなにかっこいい?」

「だって千春のお兄さんだよ?」

「確かに」

 彼は難しい顔をしていた。

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