さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「母親と父親がね」

 彼女は肩をすくめる。

 よく考えたら最初に彼女の名前を聞いたときからヒントはあったわけだ。

 あたしが全く気づかなかっただけで。

「そんなことより、今は京香の名前でしょう?」

「そうだね」

 彼女の考えには同意だった。

「あたしもそんな名前ならつけやすかったかも。思い浮かばない」

 千春はペンをテーブルの上に置き、首をかしげる。

「京香の名前の意味ってどんな意味だろうね?」

「意味なんてあるの? 適当に響きが好きだからとかいってつけたんじゃない?」

「かけがえのない人でいてほしいってことじゃないか?」

 あたしは部屋の入り口から聞こえてきた言葉に促されるようにして顔を上げた。
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