さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 その日、千春が来てくれた。

 あたしの荷物の整理を手伝ってくれるためだ。

 何か必要なものがあれば買ってきてくれると言っていたので、洗面用具を買ってきてもらったのだ。

 彼女は白のビニールをあたしに差し出す。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

 千春が自分の伯父の過去のことなど知るわけがない。

 でも、彼女があたしになぜ声をかけてきたのか。

 その理由を考えたら知っていても不思議でないのかもしれない。

 あたしは考えないでいようと思ったのに、何度も考えてしまっていた。

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