さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「てか、田中と久井にお前のこと聞かれたんだけど、適当にごまかしておいたから」

 二人は弘と同じ大学に進学した。

 そこそこ話をしていた女の子たちでもある。

「どっかで見たみたい。似ているけど違うよねって聞かれたから。だからあいつは母親の実家でのんびり暮らしているからそんなところにいるわけないじゃんって言っといた」

「そっか。ありがとう」

 あまり人に自分のことをぺらぺら話すのは好きじゃない。

 その辺りも彼は分かっているようだった。

 今回のことも結局関係者以外では弘以外知らないのだ。

「ま、頑張れよ。愚痴とかならいつでも聞いてやるから」

 そんな言葉を気軽に千春にかけることができれば千春の彼に対するイメージも変わってくるかもしれないと思う。

< 294 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop