さよなら、もう一人のわたし （修正前）

第二章 提案

　翌朝、学校に行くと、あたしの机の前に一人の男が立っていた。

　あたしのクラスメイトの武田弘だ。

　体格がかなりがっしりしていて、いかにも体育会系だ。

　しかし、別に荒っぽい性格でもなく、あたしよりもマイペースなところもある。

「昨日、一緒にいた子友達？」

　昨日というと千春のことだろうか。

「ま、友達といえば友達かな」

　あたしは首をかしげる。

「名前は？」

「もしかして彼女のこと好きなの？　一目ぼれ？」

　彼の真っ赤になった顔を見たら聞く前から答えは半分以上分かっていたが念のために聞いてみる。

「そ、そんなこと」

　弘の顔が真っ赤になっている。

　彼ほど分かりやすい人もいないのではないかと思ってしまう。