さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは千春の手を握り返した。

「ゆっくり眠るといいよ」

 彼女はそのまま体を横になると、目を閉じた。

「いろいろありがとう」

 彼女はそう言うと微笑んだ。

 でも、あたしも同じように千春に幸せになってほしいと思っていた。

 そして、彼女をそうすることができるのは一人しかいないこともまた、分かっていたのだ。



 あたしが千春の部屋を出ると、部屋の外には尚志さんがいた。

 あたしは彼に頭を下げると、そのまま自分の部屋に戻る。

 あたしは部屋に入ったときに千春が変なことを言っていたのに、気づく。

 「お兄ちゃんの気持ち」って何だろう。

 でもそれは後から聞けばいいのかもしれない。

 あたしはそう思っていた。

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