皮肉と剣と、そして俺Ⅱ




一一母が死んだ三年前の今日から、エイダは父と話す回数が減っていった。

特に不仲だったわけではない。けれど父はエイダに口を閉ざし、必要事項以外は話さなくなった。

それが、少し寂しい。


だからエイダはこうして母の得意料理であり、父の大好物でもあるシュークリームを用意して来たのだ。

それで何かが解決するわけではない。
以前と何も変わらないかもしれない。

けれどそれで良い。


この三年間、父と向き合わずにいた自分への罰だと思えばそれでいい。


「本当に馬鹿だな、私は」


自嘲気味に笑いながら呟く。

もっと早く、こうしていれば良かったのに。

ナオトが居ないと何も出来ない己を笑う。




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