喇叭空~ラッパゾラ~
その人は優しそうなおじさんだった。

「やっと、目を覚ましてくれたんだね
蓮。ずっと待ってたよ。」

蓮?
僕は蓮という名前なのか。

「ぉ…いぃ…さん…コホン。」

「無理しちゃぁいけないよ。
私は…本当に覚えてないのか…。
私は君の父親だ。
君は今年中学3年生だ。
みんなが君が目覚めるのを
ずぅっと前から待っていたんだよ。
ん~去年の冬からね。
でも君は何も覚えていないんだろう?
自分の名前すら忘れているようだったからね。」

「ここはどこ?」

「おぉもうちゃんと喋れるか。
よかった。
本当によかった。
ここは家の地下室だ。
お前はここでずぅっと寝てたんだ。
あの日からね。
今日までもう駄目かっと思ってたよ。
でも本当によかった。
蓮…。」

と言って僕のお父さんは泣き出した。
あの日から....
その日僕に何があったのだろう。
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