天空のエトランゼ〜赤の王編〜
ディアンジェロは、ジェースがあけた岩の穴を見つめ、

「銃も生きている。撃ち方によって、威力も変わる!」

その後、ジェースの右腕に目をやった。

「お前は、お前にしか撃てない弾丸があるはずだ」



「俺だけの弾丸…」

ジェースは、銃口を女に向けながら、少しだけ目を細めた。



「フン!」

気合いとともに回転を増し、ドリルのようになった時…九鬼の耳に、エルの声が飛び込んで来た。

「九鬼さん…。やめて下さい」

「え」

その声に、九鬼の回転が緩まった。

「フッ」

女は笑うと、まだ回転している九鬼の右足首を左手で掴み、そのまま怪力で地面に叩きつけた。

「何!?」

地面に跳ね返り、えびぞりになる九鬼を、女は踏みつけた。

「甘いわ!アハハハ!」

再び高笑いをする女のオウパーツが、発動した。

痛みの為に、上手く相殺できない九鬼のシルバーの表面が、塵になっていく。

「一瞬で終わりだ!」

「させん!」

今まで倒れていた十六夜早百合が、立ち上がると、両腕を発射した。

「九鬼真弓を倒すのは、この俺だ!」

しかし、早百合の体から発射された両腕は、オウパーツの振動波によって、当たる寸前に塵になった。
「何がしたい!」

女は、早百合の方を向き、馬鹿にしたように笑った。

しかし、早百合の目は、女を見ていない。

「さっきとしろ!」

踏まれている九鬼に向いていた。

「ああ!」

九鬼は、女の意識が早百合に向いた一瞬の隙に、女の足を捻ると、バランスを崩さし足下から脱出した。

そして、後ろ手で地面を弾くと、倒立の形で足を突き上げた。

「ルナティックキック二式!」

下から、女の顎をかかとで蹴り上げると、九鬼は回転し地面に立った。

「お、おのれぇ〜!」

女の体が後ろに反り返った。その瞬間、ジェースの方に顔を向いた。

「魂を込めろ…」

ジェースは、銃口を女に向けた。

右腕のオウパーツが発動し、ジェースの手にあるサイレンスを振るわした。

そして、ゆっくりと引き金を弾いた。
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