天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「な、何?」

いつもより低いアルテミアの声に、僕ははっとした。

「やつらだ」

「ど、どこ?」

僕が気を探り当てるよりも速く、その相手は僕らの前に現れた。

「チッ!」

アルテミアは舌打ちすると、空中で回し蹴りを放った。

「な!」

僕は絶句した。

アルテミアの蹴りを、片手で受け止めたのは…魔王ライだったからだ。

「ライ!?」

驚く僕の目の前で、ライはアルテミアの蹴りを弾き返すと、左手でアルテミアを地上目掛けて叩き落とした。

「ち、違う!」

アルテミアは何とかガードしたが、そのまま…海面目掛けて落ちていく。

「あいつは…やつらの子供だ!」

アルテミアは翼を広げ、落下速度を和らげようとした。

すると、上空に浮かんでいるライが左手を下に向けた。

「あ、あれは!」

雷鳴が集まり、空間が…ライの手のひらの中で歪んだ。

「雷空牙!」

「させるか!」

星の鉄槌といわれる雷空牙の威力は、軽く星を抉ることができる。

アルテミアは落下しながら、両手をライに向けた。

「空雷牙!」

アルテミアの両手からも、凄まじい雷鳴が放たれた。

2つの星の鉄槌は、空と海の間で激突し、互いに反発しあうと、爆発した。

その爆風と光は一瞬で、地球の半分を覆い尽くした。

島々に、激しい突風が吹き荒れ…その光は、遠く離れた日本やロストアイランドさえも、昼間よりも明るく照らした。

「アルテミア!」

爆風と爆音で何も聞こえない空間でも、僕の叫びは同化しているアルテミアには届いた。

「モード・チェンジ!」

アルテミアが叫んだ。

「!?」

足元から照りつける光に目を細めながら、下を見つめていたライの目の前に、光を切り裂いて僕が飛び込んだ。

(来い!)

僕の思念を感じ、2つの物体が飛んで来ると、手におさまる時には…十字架に似た剣に変わった。

「偽者ごときに!」

僕はシャイニングソードを握り締めると、咄嗟にガードしたライの右腕を斬り裂いた。

「!?」

シャイニングソードから伝わる感触に、眉を寄せながら、僕はライ…もどきを斬り裂いた。
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