天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「何を!」

ギラの目に、構えたジャスティンの姿が映る。そして、すべてを見据えたような目も…。

「わ、我を愚弄するか!」

ギラの咆哮に、周囲の雪が一瞬で水蒸気に変わる。

「ちょうどいい」

ジャスティンは、ギラの足下に姿を見せた地面にほくそ笑んだ。

「き、貴様は!我々が王の戦いから逃げて来たの言うのか!」

ギラの怒りは、空気を放電させた。

バチバチと火花が散る空間に目をくれずに、ジャスティンはギラだけを見つめながら、フッと笑った。

「ライの戦いではない。ライとアルテミアの戦いだ!そして…」

「貴様!」

ギラの足が地面を蹴った。まるで、爆弾でも爆発したかのような土埃を舞い上げ、まっすぐにジャスティンに向かって来る。

しかし、ジャスティンは逃げない。ただ左手を後ろに引いた。

「死ね!」

ギラの腕に雷鳴が、絡み付く。

「俺の名は、ジャスティン・ゲイ!偉大なるティアナ・アートウッドの後輩だ!」

2人はすれ違う。

ジャスティンはほんの少し…左手を押し出していた。掌底で、空気を押し出すように。

「ぐわあっ!」

ギラの巨体の真ん中に、掌の形をした痕が残る。

ギラの突進は、ジャスティンの背中から5メートル程向こうで止まり、片膝を雪の中につけた。

「そ、そうか…」

全身に走る痛みに、ギラははっとした。

すぐに立ち上がると、ギラはゆっくりと振り返った。

「そうだった!ハハハ!」

そして、ジャスティンの背中に向かって笑いだした。

「貴様は、ジャスティン・ゲイ!我が好敵手よ」

「…」

ジャスティンも振り向いた。

「貴様の強さは知っておる!ここから先は、一歩も通さぬぞ!我が主…ライ様とアルテミア様の邪魔はさせぬわ」

「フッ」

ジャスティンは、微笑んだ。

「フッ」

ギラは笑った。

2人は一瞬だけ目を合わせた後、再び動き出した。

先程のように、カウンターを狙うのではなく、ジャスティンも駆け出していた。

「うおおおっ!」

2つの拳がぶつかる時、運命の戦いの開幕を告げた。

世界の運命が、決まる時は近い。
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