天空のエトランゼ〜赤の王編〜
(くそ!)

折角の入学式。待ちに待った新たなる生活の始まりだというのに…平城山加奈子は、気分が優れなかった。

本当ならば、優越感に浸り、自分より劣る者達を見下ろしているはずだった。

なのに、壇上にいるのは.....。



今まで、学年一位しか経験したことがない加奈子が今、初めて一般の生徒の中にして、見上げる立場にいた。

新入生代表として、壇上に立つ生徒は、背中まである黒髪と、大きな瞳を長い睫毛で隠す…細身の女。

背筋を伸ばし、紙など見ずに、体育館にある生徒達に宣誓書を読み上げる女には、育ちから来るのか…気品が漂っていた。


(九鬼真弓!)

加奈子は心の中で、壇上に立つ九鬼を睨んでいた。

自分を一番から、引きずりおろした女。

加奈子は、その時から九鬼をライバル視することになった。

それは、逆恨みであろう。

しかし、人は聖者ではない。

そして、その悪意は時空をこえることになる。
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