天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「で、どうなんだ?」

横になり、まだ動けない高坂は舞の言葉を待つ。

しばしニヤニヤしていた舞は、真剣な顔になり、一言。

「わかりません」

「そうか…」

その結果を知っていたように呟いた高坂に、舞は言葉を続けた。

「わからない…だからこそ、わかったこともあります」

「何?」

高坂は思わず、起き上がろとしたが、痛みで再び畳の上に崩れた。

「簡単なことですよ。彼女の存在が確認できたのは、この学園と打ちきりになったテレビ番組の中だけ!二つは同時期ですから…つまり、彼女という存在は、ここ数ヶ月しか確認できない。それ以前には、いないということですよ」

「いない人間!?」

黙って話を聞いていた緑が、口を挟んだ。

「でも、彼女は存在するぞ」

「ですから…その存在している場所が関係します。まずは、大月学園!そして、月影…」

舞は、パソコンの横にあるプリンターから印刷した紙をヒラヒラさせ、

「この倶楽部の設立から、先輩達が何とか手に入れた重要機密は、3つ!」

椅子から飛び降り、高坂に近づいた。

「一つは、この土地に何かが封印されていること!もう一つは、この学園を設立したのが…月の女神の末裔であること!そして…」

舞は、高坂の前にしゃがんだ。

スカートの中が見えたが、2人とも気にしない。

高坂は、舞の目を見上げ、

「月影だ…」

「そうです!」

舞は立ち上がった。

「最重要機密だった月影!それが、テレビ番組になった!先代の部長は、月影を調べただけで、殺されたのに!」

どこか芝居がかっている舞。

「つまり…彼女が、その秘密を暴露したと?」

湿布が効いたのか、高坂は何とか起き上がった。

「部長」

舞は、畳の上に座った高坂を見下ろし、目を細めた。

「何だ?」

「月の女神は、どうなったと言われてますか?」

「うん?」

「彼女は、どうなったと?」

「あくまでも、神話だが…別の世界に行ったと……!?」

そこまで言って、高坂ははっとした。
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