天空のエトランゼ〜赤の王編〜
美亜は視界の端で、遠ざかっていく浩也の姿を見送った。

ため息とともに、ゆっくりと前を向くと、右手を差し出した。

すると、その手に…どこからか飛んできた2つの物体が近付き、握り締めると…1つの物体になった。

それは、巨大な一本の槍。

「お前も…お行き。あいつとともに…」

すると、槍は再び2つの物体に戻った。


回転し、美亜の横を通り過ぎていく。

美亜は、浩也とは逆の方向に歩き出す。

「時は、近づいている」

決して振り返らない。

「その時まで…」

だけど、足を止め、空を見上げた。

「人というものを知りなさい」

美亜は、肩を押さえた。

かつて、ある男が命をかけて教えてくれた。

人の弱さと人の脆さ…。だけど、そこにある人の願いと人の思い。

「ロバート…」

美亜は肩を押さえながら、

「あいつには、教えてやってくれ」

空に呟いた。

「あいつを、みんなが必要としていることを…」

そして、突然ぼやけた視界を隠すように、美亜は下を向いた。

「命を粗末にするなと」

美亜の瞳から溢れた涙が、地面に落ちた。

「今度こそは…」

その涙を拭うことなく、美亜は歩き出した。

ただし…分厚いレンズの眼鏡をかけて。

「共に、戦おう!それが、あたしの願いだ!」

美亜の背中から白い翼が飛び出すと、美亜は天に向かって、羽ばたいた。
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