天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「中島!」

その時から、あたしの戦いは始まった。

中島を守る為に。

だけど本当は…始まることなど何もなかったのだ。



「月の使徒か!?チッ!」

サングラスの男は舌打ちすると、化け物達に指示を与えた。

「だが、恐れることはない!こいつらの弱点は、リサーチ済みだ!押さえ付けて、眼鏡を取れ」

「キェェ!」

化け物達の身長は3メートル、体重は軽く100キロは超えていそうなのに、猫のように俊敏に動いた。

一気に間合いを詰め、鋭い爪が…あたしの顔ごと眼鏡を切り裂いた…はずだった。

「残像!?」

驚きの声を上げるサングラスの男。

あたしは、襲いかかってきた化け物達の後ろにいた。

「愚かな…」

数秒後…化け物達の体が発光し、光の散りとなった。

「い、今のが…月の力!何という眩しさだ」

サングラスをしていなければ、視界を奪われているところだった。

あたしは腕を組むと、ゆっくりと中島のいる方に歩き出した。

中島とサングラスの男を除けば、あと化け物は四体。

あたしは、フッと無意識に笑った。

「く!」

サングラスの男と四体の化け物は、後ずさった。

中島だけが動かない。

だけど、背中を向けている為に、表情はわからない。


「貴様達は…この世界に生まれたバグ!」

乙女プラチナは、サングラスの男を睨み、

「だが…それでも、この世界に生まれたものなれば…ある程度は、見過ごしていたがな!」

乙女プラチナは足を止めると、顎を上げ、サングラスの男を指差した。

「我の思い人に、手を出すならば…容赦はせぬ!」

輝くプラチナの戦闘服が、さらに眩しくなった。

「や、やれ!」

サングラスの男は怯みながらも、周りの化け物に指示を出した。

三体の化け物は、左手を乙女プラチナに向けた。

すると、手のひらから銃口が飛び出し、生体レーザーを発射した。
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