天空のエトランゼ〜赤の王編〜
落ちる寸前に、息を吸い込んだティアナは、ライトニングソードの放電をやめた。

(水中戦は、不利だ)

太陽の光で何とか周りは、明るかったが…海底までは見えなかった。

魔物の姿が見えない。

さらに、海の中では水が邪魔して、魔物の気を探ることができなかった。

(向こうは、見えているはずだ)

ティアナは海の中で、何とかバランスを保とうとしていた。

身に着けた白い鎧は軽量だが、海の中では邪魔なだけだった。

しかし、脱いでる暇はない。

そんなことを考えていると、海底から触角が伸びて来て、後ろからティアナを串刺しにしょうとした。

海中とは思えない俊敏な動きは、普通の人間ならばその一撃で死んでいたことだろう。

ティアナは背中に当たる微かな海水の流れを感じ、横に動いた。こういうときは、直感である。悩んではいけない。

反応は早かったが、鎧の肩当てに当たり、粉々になった。

(少し有難いけど)

ティアナが攻撃に入ろうとした時に、また見えなくなった。

(遊んでやがる)

ティアナは、ライトニングソードを握り締めた。

(どうする?)

ティアナは悩んでいた。

(水中用のモード・チェンジをするか)

と思ったが、ティアナは自らの考えを否定した。

(無理だ)

水中で戦えるモード・チェンジをすることは、人間ではあり得えなかった。

(呼吸器官そのものが変わる)

つまり、人間ではなくなるのだ。

地上で使うモード・チェンジは、スピードであったり、パワーを上げたり、炎を身に纏ったりするが…あくまでも、使うのは筋肉がメインだった。

しかし、水中は違う。 泳ぐスピードは上げれるが、呼吸をする為に、海上にでなければならなかった。常に、水中にはいれない。

(内蔵は、鍛えられない)

ティアナは、自ら考案したモード・チェンジという能力を使いこなすことはできないと悟っていた。

(しかし…)

ティアナは、ライトニングソードをぎゅっと握り直した。

(だからこそ…この剣が必要だった)


暫くの静寂を打ち破るように、今度はティアナの真下から、触角が伸びて来た。

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