天空のエトランゼ〜赤の王編〜
勝負は一瞬だった。

音速を超えたティアナの動きに、目覚めたばかりで戦いの経験のない2人は反応することができなかった。

瞬きの時間で、フレアとリンネの間を通り過ぎたティアナ。

「クッ」

ティアナは後ろで、片膝をついた。

「先輩!」

ジャスティンが絶叫した。

次の瞬間、リンネの体が不動のように暴走し、火柱と化した。

フレアの体には傷が走り、鮮血が噴き上がった。


「あの女…我らの核の場所を」

もう形を保てない不動は、ティアナを見た。炎でつくった目ではない。

炎の体の中を、常に移動している…不動そのものといってもいい核から見ていた。

不動とリンネは、その核で炎を操っているのだ。

その為、魂ともいうべき核を破壊されれば…2人は死ぬ。

但し…豆粒程の核はダイヤモンドよりも硬く、さらにマグマのような炎に守られている為に、通常の剣では斬れないし、そもそも見つけることは不可能に近かった。

その核に、ティアナは傷をつけたのだ。

(それだけではない!)

不動はティアナを見つめ、

(あの女は、炎を斬った。いや、炎というよりは…存在する空間そのものを)

そんなことができる人間が、いるはずがなった。

(殆どは、あの剣のおかげだろうが…。そのことを認識できる…頭が凄い)

不動は、初めて人間に畏れを感じた。

(ついさっきまで…斬れなかったものを…戦いの中、短期間で成長した)

ティアナという人間の可能性に、深く恐怖した。

(早目に、殺さなければならない。この女は、危険だ!)

しかし、今の不動に戦いを続けることは不可能だった。

「妹よ!お前の体を借りるぞ」

不動とリンネの体から、小さな核が炎を纏いながら、火の魂のように飛び出した。

「クソ!」

ティアナはそれを斬ろうとしたが、モード・チェンジの過度の使用の疲れで、動くことができなかった。

「近いうちにまた会おう!白い剣士よ」

フレアの体が燃え上がると、血を流しながら、鰈の羽を広げた。



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