天空のエトランゼ〜赤の王編〜
その言葉に、ゲイルに襲いかかろうとしたジャスティンは…振り上げた拳を下ろし、

「クッ」

歯を食い縛ると、

「わかりました」

グレンではなく、魔物の方に向かった。

しかし、魔物の数は、五十を越えていた。

ジャスティン1人では、対処できない。

「仕方ありませんね」

格納庫への正規の扉を開いて、ランが入ってきた。

その後ろには、倒れている兵士達の姿があった。

ランは頭をかき、

「どうせ〜引っ越しますから。後腐れはありませんし」

鞭を放った。

数体の魔物の背中が切れ、鮮血が飛び散った。

「折角苦労して、集めた魔力を一瞬で使いきるとは」

ランは肩をすくめた。

後ろから攻撃された魔物達が振り向き、ランに向かって吠えた。

「肉体労働は、好きではないのですが…使った分の魔力を少しでも、回収させて貰いますよ」

鞭で床を一度叩くと、ランはゆっくりと魔物との距離を計った。

――パリン。

強化ガラスが割れる音がした。

管制室に来る途中で、兵士から奪った長剣を媒介にして、影を切ったクラークが、窓から格納庫に降り立った。

「させるか…」

呟くように言うと、魔物に向かって走り出した。

「いくぞ!」

ジャスティンは、首を切られた兵士が腰につけていた剣を抜くと、そのまま近くにいた魔物の首筋に、射し込んだ。

素手に拘っている場合ではなかった。

魔物をすぐに殺さないと、いけなかった。近くにミサイルがあるからだ。

ジャスティン、クラーク、ランの攻撃で、なかなかミサイルに近づけない魔物達。

そんな状況に業を煮やした魔物の一匹が、口から炎を噴き出した。

「な!」

絶句するジャスティン。

炎が当たれば、アウトである。


「助太刀致す」

その時、疾風のようにミサイルの前に、誰かが飛び込んできた。

角刈りに鋭い目付きの男は、手にしていた槍を回転させて、炎を防いだ。

「あなたは!?」

魔物の急所に、刃を突き立てながら、ジャスティンはその男を見た。

「士官学校高等科三年!轟雷蔵!」

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