天空のエトランゼ〜赤の王編〜
(!)

ティアナは、ずっと頭を下げているクラークの様子で悟った。

(こいつらは…)

顔を動かさずに、眼球も前を向いているというのに…ティアナが意識を向けている方に気付いたのか…白髭の男は、核心を口にした。

「我々は、元老院から発生した…新たなる組織をつくる者」

「新たなる組織?」

ティアナは微笑みをやめた。 訝しげに、白髭の男を見つめた。

「そうです。この短期間で…元老院と王宮の消滅し、さらに十字軍本部もほぼ壊滅状態になりました」

「え!」

ジャスティンは、驚きの声を上げた。

格納庫内で戦っていた為、外の様子は知らなかった。

「それで…援軍が来なかったのか…」

ジャスティンは、顎に手を当てて頷いた。

「…誰が、本部内を?」

ちらりとジャスティンを見た後、ティアナは白髭の男に訊いた。

「闇です」

白髭の男は一言、そう言った。

「闇…」

ティアナの脳裏に、ゲイルの体から染みだした黒い霧の様子が浮かんだ。

「だが…心配はいりません。闇は、晴れました。もう脅威は去ったのです」

白髭の男は大きく頷くと、ティアナを見つめ、

「しかし、一番の問題が残されています」

ここまで来た要件を口にしだした。

「人間は、魔法を使えなくなりました」





「これは、これは…」

管制室に入ってきた3人の男を見て、ランは軽く会釈した。

黒サングラスに、黒の上下の背広を着た3人の男の内、真ん中にいた男が口を開いた。

「お久しぶりですね。マックフィールド博士」

「…」

恭しく頭を下げる男に、ランは目を細めた。

「若くして、博士号をとったあなたの功績は、我が国にまで伝わっておりますよ」

男はサングラスを外し、青い瞳をランに向けた。

「アメリカが…なぜ、ここにいる?」

ランは、男を軽く睨んだ。

「人類の一大事ゆえに…」

また頭を下げた男を見て、ランは歯ぎしりをした。

「タイミングが良すぎる!」

吐き捨てるように言うと、男を睨み付けながら、訊いた。

「どこから、情報を得たんです?」



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