天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「ディアンジェロ!」

少年の額に向けられた銃口。

どこの山奥か、わからない。

激しい濁流と、四方を山々に囲まれた川原に、少年はいた。

ディアンジェロと呼ばれた白髪の男は、銃口を向け、無表情でありながら、口許だけを歪めた。

「お前は、弱い…」

ディアンジェロは、引き金を弾いた。

「だから……生きろ」

女の悲鳴のような銃声が、轟き…少年は、撃たれた勢いで、そのまま濁流の中に落ちた。

そこで、少年の記憶は、途切れることになる。彼は、今までの生きてきた記憶をなくす。



「ディアンジェロ…。誰が殺せと命じましたか?」

その様子を、川原の聳える崖の上に立って…4人の男女が見下ろしていた。

「手違いだ」

ディアンジェロは振り返ることなく、こたえた。

4人の男女は、全員十代の少年少女に見えた。

一番年上だと思われる鉄仮面を被った女が、十メートルはある崖から飛び降りると、ディアンジェロの後ろに音も立てずに着地した。

「彼は、我々…運命の欠片のワンピースだ」

鉄仮面を被っている為に表情はわからないが、口調から聡明な印象を受ける女は、腕を組み…ディアンジェロの背中を睨んだ。

「まあ〜いいじゃないかよ」

仮面の女の横に、崖にいた男が着地した。棘のように、ツンツンに立てた髪の毛は、着地の瞬間も乱れることはない。

「ワンピースなんだから、命はいらないだろ」

男は笑いながら、ディアンジェロの背中に近付くと、左足を上げた。

「回収の手間はかかるけどな…」

ディアンジェロの頭上に、男の左足がしなり、まるでナタのように振り落とされた。

「フッ…」

ディアンジェロは笑いながら、避けることをしなかった。


濁流の中、赤き血とともに流れていく老人に、かかと落としを食らわした男のそばに立つ鉄仮面の女は、一瞥だけをくれると、残りの三人に言った。

「探しましょう。やっと…最後のピースも、現れたのだから」


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