天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「何堂々と、他のクラスを覗いているんだ?お前んとこの部は、まともな捜査ができないのか!」

痛がる輝を睨み付ける梨々香。

「そ、捜査って…。自殺したのは、彼女の姉で…妹は、事件に関係ないだろ…」

お尻を擦りながら、何とか梨々香と向き合う輝に、

「甘い!」

今度は、梨々香の平手打ちが炸裂した。

「どうして…殴られる」

輝は、理不尽な暴力によって、その場で崩れ落ちた。

「高木姉妹ってのは、あの高木優の親戚なのよ」

腕を組み、再び輝を見下ろしながら、梨々香は言葉を続けた。

「それだけではないわ。今回の自殺が、学園内の怨恨だとしたら…双子の妹にも危害が浮かぶかもしれないの!なぜなら、彼女達は常に一緒にいた!それなのに…自殺当日は、妹の真由は先に帰っていなかった」
「ところで…高木優って、誰?」

話のこしを折るような輝の疑問に、梨々香の飛び膝蹴りが炸裂した。

顎から突き上げられて、輝の体が弓なりに反れる。

「どうして…こんな扱い」

体が柔らかいのか…ブリッジと体勢になり、頭を廊下の床につけた輝は、そのまま背中から倒れた。

「あんたは…犬神のご加護を受ける犬上一族の末裔だけど…」

梨々香は、倒れている輝を指差し、

「犬は犬でも!負け犬の匂いしかしない!」

びしっと言い放った。

「ま、負け犬って…。ご先祖様が聞いたら…」

目頭を押さえた後、輝は立ち上がり、

「幼なじみだからと言って!言っていいことと悪…」

梨々香を睨み付けたが、再びビンタを叩き込まれて、また廊下に倒れた。

「折角のレア能力が、負け犬のあんたのせいで、かわいそうよ」

梨々香はため息をつくと、三たび輝を見下ろし、

「あんた!本当に、高木優を知らないの?高校シンガーとして一時期有名だったじゃない。だけど…彼女は、つい最近死んだわ。死因に関しては、結城校長の件と深い関わりがあると言われている」
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