天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「―ったく、ここはどこだ?」

いきなりテレポートさせられたさやか達は、島の最北端にいた。

つまり、レベルの高い魔物しかいない場所だ。

目の前には結界と海が、広がっていた。

カードで位置関係を検索できなくても、大体はわかった。

「…」

アルテミアはテレポートアウト後、即座に謎の魔力を感じていた。

(近い!?)

神経を集中させて、その魔力を放つものを探したが、見つからなかった。

(それにしても…何だ?この感覚は)

今まで感じたことのない力だった。

(まるで、誘っているように魔力が放たれているのに…場所が特定できない。そばで、妨害しているものがあるのか?)

アルテミアが、そんなことを考えている後ろでは、カレンがじっと睨んでいた。


「如月部長」

海を見ていたさやかの後ろに、緑が来た。

「ここは…もしかしたら」

少し不安げな緑に、さやかは振り返ると、

「島の一番端だ」

頷いた。

「やっぱり…」

思い切り肩を落とす緑。

「まあ心配するな。レベルが高いと言っても、魔神クラスがいる訳じゃない。力を合わせれば、戦えるさ」

慰めるようなさやかの言葉に、緑はメンバーを見渡し、

「力を合わせてか…」

ため息をついた。

他の五人から少し離れて、ジャングルの入口に立つ九鬼は、気を探っていた。

(魔物の気配以外にも、いろんな気を感じる)

九鬼はぎゅうと拳を握り締めると、

(しかし…静かであるが、混乱しているように感じる)

森の奥から、微かにざわめくような雰囲気の理由を探した。

「如月部長!」

九鬼は後ろを振り向き、

「少し中の様子を見てきます」

さやかを見た。

「何か感じるのか?」

さやかと緑が、九鬼のそばに駆け寄った。

「はい」

九鬼は頷き、

「微かですが…怯えたような波動も感じます。しかし、それがどうしてなのかはわかりません。近付いて確かめてみます」

森へと足を進めた。


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