天空のエトランゼ〜赤の王編〜
そして、極楽島でも記録に残っていない…休憩所に自らの身を捧げて、封印したのであった。



「時は達ち…仮面をつけていますが、間違いありません。あの目を見れば、わかります」

黒谷は、九鬼の前で跪き、

「申し訳ございません。やはり、黒谷一族は…あなた様にまた、ご迷惑を」

涙を流し出した。

そんな理事長の肩に、膝を下ろした九鬼が手を置いた。

「これは…理事長のせいではありません。すべてが、運命…。仕方がありません」

「乙女シルバー…」

「その呼び方は、やめて下さい」

九鬼は立ち上がると、

「あたしは、生徒会長九鬼真弓です。学園の問題は、すべてこの身で解決致します」

黒谷に微笑みかけた。

そう黒谷に言ったのが、昨日だった。

そして、廊下を歩く九鬼の目の前に、4人の転校生が姿を見せた。

「いや…1人は違うか…」

九鬼は、足を止めずに、先頭を歩く鉄仮面の奥の瞳を見つめた。

5人の距離が近付いた時、校舎に始業のベルが鳴り響いた。

九鬼と4人は、そのまますれ違った。

しかし、九鬼は唇を噛み締めた。

(共鳴している!?)

足に着いているオウパーツが、小刻みに震えていたのだ。

(くそ!)

引き寄せられるような感覚を唇を噛み締めることで振り切り、九鬼は早足で歩き出した。

「フフフ…」

九鬼の足音に気付き、鉄仮面の女ーー黒谷麗華は、笑った。

「逃げられるものか」

そして、彼女達は速度を速めることなく、廊下を歩き続けた。

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