先生とアタシの接点
―香織の悩み―<絵里side>
昨日の夜、香織から電話がかかってきた。

「明日遊びに行ってもいい?」って。

ちょっとしか話さなかったけど、いつもと声のトーンが違った。


香織は突然話しかけられた男性に恋をしたみたい。

バイトの終わり頃に話し掛けられたんだって。控えめなナンパ?

その男性、妹さんを亡くしたばかりで散歩途中によった香織のバイト先で妹さんそっくりな香織に思わず声を掛けたらしい。

香織は話し掛けられた直後は冷たくしたらしいけど、妹さんの死を知ってからは優しく接したみたい。

きっと、両親の死を経験したから冷たくなんでできなかったんだよね。

優人さんも励まされたんじゃないかな。


香織は毎日優人さんと会って、惹かれていった。


昔から片思いばっかりで男友達もいなかった香織が男の人と毎日会ってたっていうのは驚いたけど、成長したなって思う。

香織には言わなかったけど、〝男性恐怖症″なんじゃないかって心配してたんだ。だからほっとした。


昨日の電話で緊張していた理由は優人さんと会えなくなること。

学校が始まるとバイトが終わる時間が遅くなる。

優人さんも仕事が始まるらしい。社会人だもんね。







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