‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 驚いたのは甚兵衛も同じだ。




 いきなり独り言を始めたと思ったら、どこからともなく声が聞こえてきた。




 しかも、その声こそ、昨夜聞いた声だった。




「刀と・・・・・・話してるんですか?

その刀、付喪神(ツクモガミ)?」




「誰が、付喪神じゃ!

あんなのと一緒にするでないわ!」




 刀のプライドにいたくさわったのか、刀が甚兵衛を怒鳴り付ける。




 甚兵衛が、目を見開きながら、まじまじと刀を見た。




「驚いた!

ホントに聞こえるんだ!」




 巫女のほうも、大きな目を、さらに大きく見開く。




「あたしは、鷲見嵜神社の巫女、靉苒(アイゼン)。

この刀は“辰巳の御神刀”です。

まあ、さっき貴方がおっしゃったように、付喪神みたいなもんです」




「なんじゃとっ!

誰が付喪神じゃ!

このたわけがっ!」




「ごめんなさい!

ごめんなさい!」




 靉苒という巫女が、御神刀に向かって、必死で頭を下げている。




 謝ったあとで、「ホント、うるさいなぁ」などと、ボソッと呟く。




 知らない者が見たら、さぞ異様な光景に見えることだろう。
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