風の旅
そんな気持ちから、悪戯してみたくなった。

「扱いに慣れてるのはそのせいだけじゃないかもよ?」

少し真面目な顔をして、瑞姫に迫ってみる。

・・・まぁ、嘘だけど。

彼女なんか、1回、しかも中学の時しかいたことないけど。

どういう反応返すかな、なんて意地悪い笑みを心の中でしていたら、ぷふ、っと笑いだし、

『嘘だー。だったら私に抱きつかれたくらいで赤面しないよー』

とまんまと上げ足を取られて、今度は首に腕を回してきた。

「・・・そうですよ、そんなに経験ありませんよ!てゆーか瑞姫だけで十分だし!」

悔し紛れにそう言って、なぜだか少し赤面している瑞姫の脇腹をくすぐってみた。

そうしたら、威力がやたらに絶大で、瑞姫は声にならない声をあげて笑いだした。

面白くて続けていたら、瑞姫の顔がすぐ目の前に来た。

―――から、当然のように、キスした―――



*
< 10 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop