短編集
「願い事を3回なんて、言えっこないよ」
自分でもなんて可愛くないやつだと思う。
「わかんないだろっそんなの!」
「わかるよ、無理に決まってる」
素っ気なく返した言葉にもう返事は帰ってこなくて、あたしを慰めるように星が流れた。
「みゆ、みゆ、みゆ」
早口でいきなりあたしの名前を呟く声が隣からして、視線を投げかける。
あいつは誇らしげに笑って言った。
「ほら、言えた。俺の欲しいもの」
その意味に気付いて、うろたえるあたしをよそにあいつは続きる。
「願い事、叶ってるはずならみゆが俺のもんになるんだけど?」
゙流れ星に願いを゙
(素直になるのは、次に星が見えたら)
唱えるのはあいつの名前。
「かける、かける、かける」
、、三文字って長いじゃないか。