短編集
長引いて遅くなった委員会。あいつを待たせている教室へと早足で戻っていたのは、ついさっきのこと。
隣にいれればそれでいい。そう自分に言い聞かせて、大きくなりすぎたあいつへの想いを必死になって隠してきたのに。
隣にいたいと願うのでさえも駄目だと言うのだろうか、この仕打ちはあんまりだ。
いつか、自分ではない彼女が出来た時。それでも笑顔で祝福しよう。そう心に決めだいつがは今じゃなかったのに。
ガラガラガラッ。
「ごめんっ聞こえちゃった〜!裕也、帰るのは今日で終わりねっ!あたしも一緒に帰りたい奴がいるからさっ。ばいばい」
一息でそう言い放って、廊下をがむしゃらに走った。
゙今世紀最大の嘘゙
(明日こそは、おめでとうを笑顔で言おう)
「っ、ふっ、う、」
だから今だけはこんなあたしを優しく隠して下さい。
見ていたのは、朧げな太陽。
揺れていたのは、あたし。