短編集



長引いて遅くなった委員会。あいつを待たせている教室へと早足で戻っていたのは、ついさっきのこと。

隣にいれればそれでいい。そう自分に言い聞かせて、大きくなりすぎたあいつへの想いを必死になって隠してきたのに。

隣にいたいと願うのでさえも駄目だと言うのだろうか、この仕打ちはあんまりだ。

いつか、自分ではない彼女が出来た時。それでも笑顔で祝福しよう。そう心に決めだいつがは今じゃなかったのに。



ガラガラガラッ。


「ごめんっ聞こえちゃった〜!裕也、帰るのは今日で終わりねっ!あたしも一緒に帰りたい奴がいるからさっ。ばいばい」


一息でそう言い放って、廊下をがむしゃらに走った。




゙今世紀最大の嘘゙
(明日こそは、おめでとうを笑顔で言おう)

「っ、ふっ、う、」
だから今だけはこんなあたしを優しく隠して下さい。

見ていたのは、朧げな太陽。
揺れていたのは、あたし。





< 17 / 17 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop