巡愛。~ずっと好きだった~
「景虎様、本当にお一人で!?」
皆、心配そうな顔で私を見る。
「案ずるな。…必ず無傷で戻って参る。」
いくら心配されようとも、反対されようとも…出向く覚悟だった。
「…解りました。お気をつけて。…御武運を祈っております。」
「あぁ。行ってくる。」
私は陣を抜け、馬を走らせ…晴信が指定した場所に向かった。
晴信が指定した場所は、我が軍の陣から近い。
罠にしては、こちらに有利だ。
犀川の辺の大きな木の下…あそこだ。
晴信は…既に、居た。
晴信の他に誰も居ない事を確認してから、馬を下りた。
「待ってたぜ、景虎。」