巡愛。~ずっと好きだった~


「景虎様、本当にお一人で!?」



皆、心配そうな顔で私を見る。



「案ずるな。…必ず無傷で戻って参る。」



いくら心配されようとも、反対されようとも…出向く覚悟だった。



「…解りました。お気をつけて。…御武運を祈っております。」



「あぁ。行ってくる。」



私は陣を抜け、馬を走らせ…晴信が指定した場所に向かった。


晴信が指定した場所は、我が軍の陣から近い。


罠にしては、こちらに有利だ。


犀川の辺の大きな木の下…あそこだ。


晴信は…既に、居た。


晴信の他に誰も居ない事を確認してから、馬を下りた。


「待ってたぜ、景虎。」




< 149 / 201 >

この作品をシェア

pagetop