倫の実話怪談語り
部屋


私の友人Sは
不思議な子で

気持ち悪い部屋でも平気で住める

ある時引越した部屋には先客がいたが

知らぬフリで何年か住んでいた

少し敏感な友人がSの部屋に遊びに行ったが

エレベーターにさえ

のれなかったらしい

「あそこ、エレベーターにびしょ濡れの髪の長い女がずっとおるねん。ようあんなとこ住むわ」

その友人は感心したように言っていた

そのことをSに言うと

「だから洗濯物が乾かんのかな」

とカラカラ笑っていた



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